第50話 香風のダンス

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 堂々巡りだ。  あ、そうだ、この前「地下アイドル アニカ」を検索した時に何曲か動画が有った。  どうしよう、スマホでこの曲を流したら香風の活動がバレるかな。オリジナル曲はマズいけどカバー曲なら大丈夫かな…。  この場で香風に聞くわけにもいかないし、あたしは駆け引きが苦手、こういうことを考えるのも苦手、だったら曲をかけてしまおう。動画を見せなければきっと大丈夫。 「適当に曲をかけてみるね」  あたしはスマホのスピーカーの音量を大きくして曲を流した。香風はアタフタしてあたしを睨んだが、コロリョフの十字架のライブ動画をチラ見せしたら溜息をついて言った。 「わかったわよ、その曲最初からかけて」 「うん!わかった」  なんだかあたし、弱みを握って香風をイジめてるみたいだ。決してそんな意図は無いんだけどね。  曲をかけると香風は踊り出した。ライブ活動で踊っているだけあってホントに上手い。流石(さすが)だ。  動画ではセンターの子がメインで歌い、香風を含む他の4人は後ろで踊りながら歌うみたいだ。  でも今は歌わずに踊っているだけ。それでも生で見ると凄い。見入ってしまう。  ひと通り踊り終わったので、あたしは拍手をした。 「これは上手いのか?」 「上手いっての!」  まどろみさん、これはかなり上手かったよ。
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