第52話 急接近

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 入学直後で新しい環境にも慣れないといけないこの時期に、彼らなりに考え次に進む方向を導き出した。あの連中の成長ぶりが楽しみだ。  香風についてはアイドル活動を続けさせたい。届けを出せば問題ないとは思うが、事前に根回しはしておこう。 「今から恩を着せておいて、彼女が有名人になった時には、高校の恩師のおかげだと言ってもらわないとなっ…おっと、ここでは大声の独り言に誰も突っ込んでくれないな」  高校生活は長いようでいてあっと言う間だ。36ヶ月のうちのひと月がもう終わった。  私は顧問として彼らの36ヶ月を預かった。無駄にはさせない。今月よりも来月、来月よりも再来月、いつも前の月より今のほうが良いと思えるような36ヶ月にしてほしいものだ。  その為ならどんなサポートだって惜しまない。大人になってから、この高校生活を思い出したときに良い顧問だったと私のことを思い出してもらおうじゃないか。
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