第56話 北高祭の出し物は

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「美咲も、ライブ本番は撮影をしてもらうが、歌の練習を香風と一緒にやってくれ」  え?なんで?  同好会に入った時から、あたしは歌わないと言ってるのに。 「なんで?あたしはイヤだよ」 「1人で練習するより2人で練習したほうが上達すると言うぞ」 「そんな話、聞いたこと無いよ。まどろみさんが一緒にやれば良いんじゃないの?」 「私は亮のギターで練習する。ギターを独り占めだ」  それは良いんだけど、あたしは歌いたくない。 「香風だって1人のほうが良いでしょ?」 「うーん…ライブでは4人でバックコーラスやってるから、美咲が一緒にやってくれたほうが1人でやるより雰囲気あるかも」 「ほら、やっぱり1人より2人だ。美咲は口パクでも良いから雰囲気作りで香風に協力してくれないか?私もたまには参加するよ」 「口パクで良いなら協力するよ。ほんとに絶対歌わないからね」 「美咲、あ、ありがと」  香風にお礼を言われると、なんだかくすぐったい気持ちになる。まあ、喜んでるし良いか…。 「入るぞー。方針が決まったようだな。体育館は使わないということだな」  覗き見してたのがバレるようなことを言いながら、真知子先生が入ってきた。
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