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「じゃあまどろみさん…は寝てる、いつの間に寝たの?亮とお嬢は何曲くらいやりたいの?」
「うーん…俺はギター単独で1曲、ピアノ単独で1曲、それからこの前やった曲をもっと仕上げて1曲、オリジナルを1曲が良いかなと思う」
「私はあとひと月でオリジナルを作るのは反対です。時間が足りなくなって妥協した曲が出来そうで嫌です」
「単独って何?合奏同好会なんだから単独はダメでしょ」
香風が至極真っ当なことを言った。
「今月下旬に中間テストが有るでしょ。お嬢はピアノレッスンで来れない日があるし。それを踏まえて残りの練習時間を考えると、オリジナルをやるならそれプラスコピー曲を2曲、やらないなら3曲が妥当なとこね」
ライブ活動をしているだけあって、なんとなく説得力のあることを言った。
「どうしてもオリジナルをやりたいなら、間に合うかどうかは別にして、オリジナルを作りつつコピー3曲を優先して練習する。そうしなさいっ。初ライブが成功するようにわたしがこのイベントをプロデュースしてあげる」
『………』
「な、なによっ、不満、なの?」
悲しそうな顔をする香風。
「わたしあんまり顔を出せないから、何か役に立ちたくて。ライブイベントは経験あるしあんたたちが練習に専念出来るように協力させてよ」
そうだったのか。香風も体ではなく、ちゃんと参加したいんだ。
「うん、わかった。よろしく頼むよ」
「亮に改まって頼まれるとくすぐったいわね。頑張らしてもらうわ。それでね…あんまり顔を出せないからメッセージアプリでやり取りするって事でも良い?」
「それはもちろん!」
「じゃあ…」
香風はスマホを出した。
「うん?」
「だから、ほら」
亮はスマホを受け取ろうとした。
「違うわよっ、馬鹿じゃないの、メッセージのグループにわたしも入れてよぉ」
『あ、香風を入れるの忘れてた』
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