第62話⑤ 恋バナ 微睡みこ

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第62話⑤ 恋バナ 微睡みこ

「じゃあ最後はまどろみさん…恋バナ、有る?」 「なんで、恋バナなんて無いだろうみたいな聞き方なんだ?まあ無いんだけども」 「ホントにホント?今、恋してない?」  相変わらず宮子はな聞き方をするなあ。 「恋…」 「してるよね?」 「うん…」 「それってね」 「うん…」 「恋バナだね」  顔が真っ赤になるまどろみさん。美人が照れると超かわいい、なんか良いもの見たって気分になる。 「亮だよね?もう付き合ってるのかな~?」 「いや、そういう事では…」 「え~、なんで?(こく)ったり告られたり…無いの?」 「無い。今の距離感を壊したくない」 「壊れないと思うよ~」 「そうよ、モタモタしてないでさっさと告っちゃいなさいよっ。じゃないとあの男は…うぐぅ」  咄嗟(とっさ)にあたしは香風(このか)の口を押さえる。まどろみさんを応援したい気持ちはあたしたちと同じ、ありがとうと言いたい。けど、千歳(ちとせ)の話をまどろみさんの前でしてほしく無いの。ごめんね。 「香風は黙っててね。あたしも壊れないと思うよ。だって肩寄せ合って座ったり、いつも一緒に帰ったり、亮だってまどろみさんに気持ちが有ると思う」 「でも、もし告白して、もし付き合って、もし別れが来たら、全て無くなってしまう。それなら今日と同じ明日が来る今の状態が続いたほうが良い」
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