第66話 雨のち虹

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 こういう時って、植え込みの中から急にネコが飛び出してきて悲鳴を上げるってシチュエーションを漫画でよく見かけるけど…。  あたしは周囲の植え込みを見る。うん大丈夫、こんな雨の日には、きっとネコも大人しく雨宿りしてるはず。  まさか雨宿りをしに千歳が現れたり…まさかね。  ドーンッ  閃光と共に近くに雷が落ちた。  あたしは悲鳴を上げてしゃがみ込み、まどろみさんの脚にしがみついていた。美人な上に脚も綺麗だ、怖いのに冷静に目の前の脚をじっと眺めていた…ずっと。  だってあたしは腰が抜けたから。 「美咲、大丈夫か?」  我に返ったまどろみさんが声をかけてくれた。  まどろみさんを落ち着かせようとしていたのに…立場が逆転だ。 「ちょっと待ってね…腰が抜けて立てないの」 「突然で私もびっくりしたよ」 「せめて光って数秒あれば身構えられたのに」 「がくがく足が震えてる、怖かった」 「いきなりだもんね~」 「立てるか?」  まどろみさんは手を引っ張り上げてくれた。あたしはなんとか立ち上がりすぐに東屋の下のベンチに座った。 「あたしも、ここで千歳に会ったことがあるよ」
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