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「美咲も…そうなのか…私は確実に千歳と亮に会っている。相合い傘の2人に…でもそれは微妙な距離感だった」
「でも昔の話だから大丈夫だよ、ね、まどろみさん」
「うん…でもその姿を思いだすと、どうしようもなく苦しくなる」
あたしはどう言って良いのかわからない。だから今度はまどろみさんをギュッと抱きしめて頭を撫でてあげた。まどろみさんは耳元でつぶやいた。
「美咲が見た千歳は、どんな子だった?」
「小さな女の子だった」
あたしはその時の事をまどろみさんに話した。
「たぶん同じ子だな…」
「だね、でも昔の事だし、きっともう気にしなくて良いんだよ。今を大事にしないとダメだよ」
雨が上がり雲が切れてきた。
「まどろみさんって脚も綺麗だね」
「ななな、何をいきなり」
顔を真っ赤にして慌てるまどろみさん。だんだんいつものようになってきた。
そうだ、今度お嬢に聞いてみよう。昔、小さな公園の小さな東屋で千歳に会ったことが無いかを。
もし会っていたら、これはもう偶然なんかじゃ無い。
東屋を出ると虹が出ていた。
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