第67話 チケット

2/4
前へ
/472ページ
次へ
女学館(じょがっこ)出身の私には刺激が強いです」  お嬢が赤面しながら言った。うん、確かに刺激が強い…まどろみさんは、亮の膝の上に座っている。この密着度でも、まだ付き合ってないとか言うかなあ…。 「あんたたち、少しは人目を(はばか)りなさいよっ。もうバカップルの領域よ」  香風(このか)が呆れたように言う。 「バカップル?付き合ってないからカップルではないよ。な、亮」 「そうだな、バカップルからカップルを引くとバカだな、でも問題ないよな、みこ」 「みこって言うな」  まどろみさんは膝に座ったまま亮のほうを振り返り言う。そのままキスしちゃえば良いのにと思う距離だ。いったいいつになったら告白するんだろう。 「でもまあ流石(さすが)にこの体勢だとギターを弾けないから、横に座ってくれるかな」 「うん、わかった…」  不安な表情を見せるまどろみさん。千歳のことが気になって仕方がないんだろう。  2人の距離が縮まったことは良かったと思う。  それ以外は変わりなく、いつもの同好会。それも良かったと思う。  あたしと香風はお嬢のピアノで発声練習をして、まどろみさんは亮のギターで歌の練習をした。  いつもの同好会、だけど…。
/472ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加