第67話 チケット

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 あたしはお嬢に聞かなきゃいけない。小さな公園の小さな東屋(あずまや)で、千歳に会ったことがないかと…。  そして香風にも聞かなきゃいけないことがある。なんとなくだけど、皆の前では聞かないほうがよさそうなこと。 「香風って明日から地下ライブだっけ?連休中同好会に来るのは今日まで?」 「そうよ。みんなごめんね」 「そっかあ、ライブ頑張ってね」 「な、なによ、改まって。美咲にそんなこと言われるなんて…」 「香風、一緒にトイレ行こう」 「は、はひ?」  怯える香風。今までそんな事をしたこと無いあたしが急に言ったから、みんなも驚いている。 「なんで?わたしは大丈夫よ、1人で行けるし」 「あたしは香風と行きたいの、行こうっ」 「痛いっ、離してよ~」  あたしは怯える香風の腕を掴んで階段の踊り場まで連れて行った。 「な、なに?トイレじゃないの?」 「うん、ごめんね聞きたいことがあるの。千歳なんだけど…北高祭に来る可能性あるかな?」  北高祭の一般公開日に生徒以外が入るにはチケットが必要だから、もしかすると香風がチケットを頼まれているかも知れない。
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