第69話 再び小さな公園へ

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 漫研が終わり宮子がやって来た。今日は帰りに小さな公園に行ってみようと約束をしている。 「お嬢も一緒に帰ろうね。ついて来て欲しい場所があるの」 「今日はレッスンが無いから大丈夫ですよ」 「よ~し、帰ろ~」  その公園が、どんな場所かずっと気になっていた宮子は張り切ってる。ちょっと心強い。香風も居たら良かったんだけど、今日もレッスンらしく同好会には来ずに帰ってしまった。  坂道を下る。ゴオッと風が吹き黒い雲が空を覆い始めた。雨の匂い。まただ、あの公園に行こうとすると天気が悪くなる。 「偶然だよ~、朝の天気予報でも夕方に雨降るようなこと言ってたよ~」 「そうだっけ?」  あたしはスマホで天気を調べた。確かに夕方に雨のマークがついている。   「連休前半も気温が高くて夕立が降るかもって言ってたから、その時の雨も偶然だね~」  あくまでも冷静な宮子。確かに千歳が意図的に雨を降らしているわけが無いから偶然なんだよね。  と思ったら宮子が声を潜めて言った。 「でもね、もし千歳が雨を降らしているとしたら、能力者だよ。そうだとしたら会ってみたいな~」  宮子…それ笑えないよ。昔千歳に会ったときも雨、今千歳の痕跡を探そうとしても雨。能力者だと言われたら頷いてしまうよ。 「ここですか?」  小さな公園に着くと、ポツポツと雨が降ってきた。あたしたちは東屋(あずまや)の下に入る。  そして病んでるらしい千歳が北高祭に現れるかも知れないから、お嬢にも知っといて貰おうと、羽衣千歳の話をした。 「千歳さん、可哀想です…」 「でもね、今はまどろみさんを大事にしなきゃダメなのよ」 「それに異論は有りません」  良かった、お嬢もそう思ってくれた。 「でね、あたしとまどろみさんは、昔ここで千歳に会ってるの…。お嬢、心当たりは無いかなあ」  お嬢は辺りを見回す。雨が強くなってきた。 「あ…」
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