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少しするとポツポツと雨が降ってきました。さすが私です。
雨が降る前に雨宿り、先見の明があります。でも雨風が激しくなると小さな東屋の下を雨が通り抜けます。これでは雨宿りになりません。不覚でした。
その時、バシャバシャと水溜まりをはじく音がして、ずぶ濡れの女子が東屋の下に入ってきました。
同じ年頃くらいの女子。
濡れた髪の毛が顔に貼り付いていて怖い雰囲気です。話しかけることはせずに黙ったまま雨がやむのを待ちました。
でも、
「あなたも寂しいの?」
急に話しかけられました。
濡れた髪の毛の隙間からジッとこちらを見ています。背筋がゾクッと寒くなり鳥肌が立ちました。
見た目が怖いとかではなくて、全てを見抜いたようなその鋭い眼光と物言いが怖かったのです。
怖さに何も言えずにいると、
「寂しいのはつらいね…」
そう言うとその子は傘を差して、公園を出て行きました。
まるで隣に背の高い誰かが居て、その人と相合い傘をしているかのような傘の持ち方でした。
「千歳~っ」
少しすると、今度は小柄なツインテールの女子が走って来ました。
「すいません、ここに女の子来ませんでしたか?」
さっきの女子が去っていった方向を指差すと、ツインテール女子は
「ありがと」
と言って走って行きました。
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