第72話 香風とみこ

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「まどろみさんが居ないね…亮、どこ行ったか知らない?」 「いやわからない。弁当食べたあと用があるからって出て行った」 「ふーん、そうなんだ…」  いつもと違うみこの行動に美咲は不安になった。  香風のとこかな…3組に行ってみよう。 「香風なら居眠り少女に呼ばれてどっか行ったよー。すっごい怖い顔してた。なに?喧嘩でも始まるの?」  やっぱり…もしかして千歳のことで?いつも冷静なまどろみさんが感情を(あら)わにしてるなんて、ただ事じゃないよ。  すぐに教室に戻って宮子とお嬢に声をかけ、まどろみさんを探すことにした。  亮に声をかけるかどうか迷ったけど、千歳の事を話すなら居ないほうがいいかと思ってやめておいた。 「きっと校舎裏だよ~」  確かに、宮子が言う通り呼び出しと言ったら校舎裏だ。  5限目が始まる5分前。あたしたちは予鈴の音を聞きながら、校舎裏に向かった。 「授業、始まりますね」 「そうだね、どうする?…」 「私は探します」 「うん!あたしもだよ」 「あたいも探すよ!」  宮子、いつものキャラで和ましてくれてありがとうね。  本館の校舎裏から2人の声が聞こえた。やっぱり千歳の話をしている。早く行かなきゃ…。  でも、宮子に腕を掴まれた。 「待って美咲、様子を見よう。まどろみさんがあそこまでしてるんだから、香風と2人で話がしたいんだよ。私たちはまだ出て行かないほうが良い…いつものように覗き見ね」  いつものように?  やっぱり宮子、いつも部室覗いてるんだね。
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