第72話 香風とみこ

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「スマホの電源切って鞄の中にしまえー、音が鳴ったら没収なー…(以下略)」  5限目の授業は担任をしている私のクラスだ。  昼イチの授業は眠い。自分のクラスだと気が抜けるから、さらに眠気が増す。眠気を覚ますような、なにかが起きないものかな…  おっ、みこと美咲、お嬢に宮子が揃いも揃って居ない。何かあったのか…  亮は居るが、宮子は居ないから同好会の話じゃないな、女子だけで何か…  色恋沙汰か?  おっ!  窓から外を覗くと校舎の陰に3人の姿が見えた。こっそり校舎裏を覗いている。  なるほど、恐らく校舎裏にはみこと誰かが居るな。 「すまんが急用が出来た。静かに自習しといてくれ。騒いだやつは定期テストが満点でも追試な」  刃傷沙汰(にんじょうざた)にはならないと思うが、早めに覗きに行ったほうが良いだろう。よし、これで眠気は覚めた。  3組の前を通ると、5限目の担当教師がちょうど出てきた。 「あ、宮前先生、桜谷香風を見かけませんでしたか?」 「うむ、桜谷は体調不良でトイレに居る。このあと私が保健室に連れて行っとくから大丈夫だ。うん、ちょうどその連絡に来たんだ」 「あ、わかりました。よろしくお願いします」  生徒が同じ事を言っても信じないだろうが、教師が言うとあっさり信じる。ちょろいな、若僧教師。  さて、奴らが覗いているのと反対側の校舎の陰から覗くとしよう。
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