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「わたしのせいで千歳がああなってしまった。だから千歳を元通りにしなきゃいけないの」
「亮と千歳を引っ付けるつもりか?」
「それはもう無理よ。亮はあんたに惚れてる。間違いないわ。あんたも亮に惚れている。だからわたしは、あんたたちを応援する。あんたが第2の千歳にならないようにする。そして千歳を元に戻してみせる」
「どうやって?」
「あんたと亮の仲を千歳に突きつける、残酷かも知れないけどそうする。そうしないと…諦めさせないと千歳はずっと先に進めない。いつまでも亮のことを想っていたらもっと病んでしまう。わたしは中学の途中からの千歳の時間を止めてしまった。今もあの子の恋は中2のバレンタインの日で止まったまま。高校生になったんだから、新しい恋を見つけて、普通に恋する女子高生になって欲しい。3年しか無い貴重な時間を無駄にして欲しくない、そう思ってるの。そして…わたしにかかった…呪いも…消したい…」
声を押し殺して泣き出す香風。こういうシチュエーションに不馴れなみこはオロオロしている。
「あ、お嬢っ」
お嬢が校舎の陰から飛び出し、泣いている香風に向かって走り出した。
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