第75話 千歳の動き

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「ううん、付き合ってるわけでは無いって言ってる」 「ええ?!ダメじゃん。あの男またそんなことしてんの?千歳の時と(おんな)じじゃん」 「そうなのよ…さっさと(こく)れって言ってるんだけどね…」 「香風、それ気を付けないと…千歳にも告れって言ってあんな事になったんだよね」  言われてみればそうだ。あの時と同じだ。わたしは凄く怖くなった。真知子先生が言っていた、相手のことを考える理性を持てと。  恋バナのときに告れって言ったけど、亮とまどろみさんが今のままの状態が良いと思っているなら、わたしが告れと言うのは筋違いだ。  またしても2人の仲を壊してしまったら、わたしは立ち直れないほどの呪縛を背負うことになる。気を付けないと。 「ほんとだね…ありがとう…」 「香風がしおらしくなった。ごめんごめん、ちょっと気になって言っただけだからね」 「うん、千歳にはチケット欲しかったら、わたしに言えって返信しといて」 「わかった、やっぱり千歳はここに来ないほうが良いよね。あの2人を見たら辛いだけだし、千歳がどうなるかわかんないから」  西中での出来事を知っている人は皆そう思うだろうな。先生の言う通り、見せつける、なんてことを考えていたわたしは感情的過ぎた。千歳のことをもっと考えてあげなきゃ。 「踏ん切りがつくってことは…無いよね…」 「北高祭に来たいって言ってるくらいだから、執着心がすごく有るんだと思うよ」 「うん…」 「だからやっぱり来ないほうが良いと思う」  でも、千歳は北高祭に来ようとしている。その日わたしはここには居ない。  どうしたらいいの…
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