第76話 先生のコーヒー

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第76話 先生のコーヒー

 千歳のこと、どうしたらいいかわからない。でもみんなを巻き込みたくない。真知子先生なら…。  先生が食後のコーヒーを飲んでいるかも知れないと期待して、お弁当を食べ終わったわたしは、ひとりで部室に向かった。  扉に近付くとほんの少しコーヒーの香りがした。  よかった、先生は本当に食後のコーヒーを飲みに来てるんだ。わたしはコーヒーが苦手だけど、初めて落ち着く香りだと思った。  扉を開けると風が通り抜けカーテンが動いた。先生はこっちを見た。 「なんだ香風(このか)か、焦ったじゃないか」 「すいません…」 「うん?…」  わたしは先生に表情を読みとられた気がした。 「コーヒーを飲むか?私がいれてやるぞ」 「コーヒーですか、苦手です…」 「私のコーヒーが飲めんのかー」
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