第78話 香風と千歳

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「亮に対して素直に好きだという感情を出せなくなって、ぎこちなく笑いかけることしかできなくなった。そして溜まったストレスを他のカップルにぶつけた…と言うことかも知れんな。カップルに対しては今も同じような状態なのか?」 「はい…よくカップルの邪魔をした話を自慢気にメッセージアプリで聞かせてくれます」 「なるほどな…まだ感情が不安定か…亮とみこ」  真知子先生は2人のほうを向いて言った。 「北高祭のときイチャイチャしないようにしろ」 『えーっ』  2人は声を揃えて言った。 『嫌です』    まどろみさんは膝の上に座ったまま向きを変え、亮と対面状態になって見つめ合った。人目を気にしないバカップルだ。これでも付き合ってないと言うか。 「なんとっ」  先生は立ち上がり、 「2人っきりにしてやろう。みんな、廊下に出ろ。こっそり覗くんだ」 「先生、こんな時に。いい加減にしてください」 「いや、すまん。深刻な雰囲気をほぐしてやろうと思ってだなあ」  先生は頭を掻きながら言った。 「では、真面目な話だ。香風、千歳をどうする?君自身はどう呪縛から解き放される?着地点は見えたか?聞かせてもらおう」
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