第80話 ブレイクタイム(ちょっと回想)

3/3

33人が本棚に入れています
本棚に追加
/472ページ
 ◇ 桜谷香風 ◇  わたしは呪縛を背負ってこの学校に来た。 気にしなくても良いと言う人もいるけど、大事な友だちを傷つけてしまったままにするのは絶対に嫌。  なんの因果かその当事者の亮と同じ同好会になったけど、そのおかげで美咲やお嬢、まどろみさんに宮子という大事な友だちが出来た。みんなわたしの事を真剣に考えてくれている。泣きたいくらい嬉しい。  地下アイドルのことも応援してくれてるみたいだし、いつかきっと見にきて欲しい…有料だけどね。  真知子先生は雑なときもあるけど、何かあったときはまず、わたしの意志を考えてくれているように思う。口パクを叱ってくれたのは嬉しかったけど…便秘キャラになったのは先生のせいだ。まったくもう。  お弁当を食べ終えたわたしは、部室に行ってみた。今日もコーヒーの香りがする。食後のコーヒータイムね。ノックをしてから扉を開ける。 「先生、今日もコーヒーいただいて良いですか?」 「香風か、良いぞ。私のコーヒーは気に入ったか?」 「はい、ほろ苦さがクセになりそうです」  わたしはゆっくりコーヒーの香りを楽しんで飲んだ。先生と居る時間はホッとする。同好会に入ってこの先生と関わりがもてたのは本当に良かった。 「さて、話を聞こうか」  先生はわたしの表情を読み取るのが上手だ。
/472ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加