33人が本棚に入れています
本棚に追加
/472ページ
◇ 桜谷香風 ◇
わたしは呪縛を背負ってこの学校に来た。
気にしなくても良いと言う人もいるけど、大事な友だちを傷つけてしまったままにするのは絶対に嫌。
なんの因果かその当事者の亮と同じ同好会になったけど、そのおかげで美咲やお嬢、まどろみさんに宮子という大事な友だちが出来た。みんなわたしの事を真剣に考えてくれている。泣きたいくらい嬉しい。
地下アイドルのことも応援してくれてるみたいだし、いつかきっと見にきて欲しい…有料だけどね。
真知子先生は雑なときもあるけど、何かあったときはまず、わたしの意志を考えてくれているように思う。口パクを叱ってくれたのは嬉しかったけど…便秘キャラになったのは先生のせいだ。まったくもう。
お弁当を食べ終えたわたしは、部室に行ってみた。今日もコーヒーの香りがする。食後のコーヒータイムね。ノックをしてから扉を開ける。
「先生、今日もコーヒーいただいて良いですか?」
「香風か、良いぞ。私のコーヒーは気に入ったか?」
「はい、ほろ苦さがクセになりそうです」
わたしはゆっくりコーヒーの香りを楽しんで飲んだ。先生と居る時間はホッとする。同好会に入ってこの先生と関わりがもてたのは本当に良かった。
「さて、話を聞こうか」
先生はわたしの表情を読み取るのが上手だ。
最初のコメントを投稿しよう!