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先生は優しい笑顔になった。
「それか、私はその活動はお金を得るのが目的の単なるバイトではなく、正式な仕事と判断した。と、すると…」
先生は胸ポケットから生徒手帳を取り出した。なんで先生が持ってんの?
「校則にはアルバイトは禁止、やるなら正当な理由とともに申請しろと書いてあるが、正式な仕事についての規定はどこにも書いていない。つまり問題ないと言うことだな」
「ええと…アルバイトに関する校則の意味合いを考えると、仕事も申請しないといけないように思うんですが…」
「そうとも言えるが、そうではないとも言える。グレーゾーンというヤツだ。すり抜けられる校則の網だ。口頭ではあるが君から申請を受けて私が受理して許可を出した。お前はお咎め無しだ。怒られるのは私だ。許可を得ているんだから堂々と活動しろ。書面にして欲しかったら作るぞ」
「いえ、そこまでは」
わたしは先生を信用している。雑だけど。
「今度是非ライブを見に行かせてもらうぞ。チケットよろしくな」
「有料ですよ」
「良いぞ。アイドルの収入源だな」
「あと先生は大人なので物販を大人買いしてください!もちろんわたしのグッズですよ!」
「グッズ販売…お金目的か?!と言うことはバイトか?!」
「違いますよっ。自分の為のお金じゃなくてグループの活動資金が欲しいんです」
「わかってるよ」
先生は楽しそうに笑いながらコーヒーを飲み干した。この先生と関われて良かったと本気で思う。
「さあ、昼休みが終わるぞ。早く教室に戻らないと便秘と言われ…」
「だからそれっ、先生のせいですからねっ」
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