第82話 中間考査、そして…

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第82話 中間考査、そして…

 くぅ~、くぅ~…  後ろから寝息が聞こえてくる。今は数学の試験中だ。  まずい、まどろみさんが試験中に寝ている。試験開始からまだ15分。いくらまどろみさんでも全て解き終わってから寝ているわけでは無いだろう。  後ろを振り向いて起こすわけにもいかないし、さあどうしたものか…。  亮はわざとらしく咳き込んでみた。しかし、  くぅ~、くぅ~…、寝息は止まらない。  どうするか…よし、次はまどろみさんの机に俺の椅子がひっつくまで下げて貧乏揺すり作戦。  ガタガタ、お、寝息がとまった。  しかし貧乏揺すりをやめるとすぐに  くぅ~、くぅ~…  ガタガタ  … くぅ~、くぅ~… ガタガタ  … くぅ~、くぅ~… 「日之池!試験中だぞ静かにっ」  試験監督の先生に怒られた。  次は…筆箱落とし作戦だ。ガシャっ。結構大きな音がした。皆振り返ってこっちを見ている。よし、寝息が止まった。 「先生、筆箱落としました」  先生は机の上を見ると 「鉛筆と消しゴムはあるな。後で拾え」  くぅ~、くぅ~…  また寝た。この作戦は1回きりしか使えない…次は…  こんなことを繰り返すうちに試験終了のチャイムが鳴った。  あああ、俺の答案用紙はほとんど白紙だ。
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