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さっきまでの千歳は気弱で内気な雰囲気だったのに、気が強くて攻撃的な人物に豹変したように見えた。さっき感じた怖さはこれだったのかも知れない。
「あんた、まさか亮と…」
「違う…わたしはただ…」
その時、亮がまどろみさんの手をしっかりと握り千歳の前に姿を現した。
「千歳」
「な、なんで?…亮が来るなんて聞いてないよ…どういうこと?はあ?なんで香風と亮が連んでんだよ、亮と手を繋いでるその女は誰なんだよ」
激しく動揺した後、敵意を露わにまどろみさんを睨み付ける千歳。顔付きが般若のようになった。
「俺は千歳とは付き合えない」
「はあ?付き合えない?誰が今告ったよ?」
空は分厚い雲で覆われ、辺りは薄暗くなってきた。遠くで雷が鳴っている。
宮子はスマホのアプリで雨雲レーダーを見ながらガッツポーズをしている。ごめんね宮子、放置するよ。
それよりも、あたしたちがこの場に出て行くタイミングが難しい。
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