第87話 みこと千歳

3/5

33人が本棚に入れています
本棚に追加
/472ページ
 お嬢はいつでも飛び出して行けるような体勢をとり、強張った表情で 「この展開はまずいですね」 と(つぶや)いた。 「その女は誰なんだよ。答えろよ」 「微睡(びすい)みこさんだ」 「あん?名前を聞いてんじゃ無いよ。亮のなんなんだよ」 「大切な人だ」  亮は千歳に優しさを見せない。突き放すという意思を感じる。亮も辛いかも知れない。  雷が近くで鳴り、雨がポツリと落ちてきた。お嬢は雨が降り始めると 「行きましょう。今、千歳さんは感情のコントロールを失いました。危ないです」 と言って、すぐに駆け出した。 「お嬢、待って」  あたしたちは一歩出遅れたけど、すぐに後に続いた。
/472ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加