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「お前が告れって言わなかったら、ずっと一緒に居れたんだよっ、亮の横にはずっと私が居たんだよっ」
千歳は香風の頬をひっぱたいた。何度もひっぱたいた。香風は抵抗しない。
「やめろっ、千歳」
亮が止めに入ろうとする。けれど亮より先にまどろみさんが香風の前に立ちはだかり、千歳の腕を掴んだ。
「やめろ、私の大切な友だちに手を出すな」
見たことも無い形相で千歳を見据えるまどろみさん。千歳が怯んだ。その隙にお嬢は香風の手を引き、千歳から遠ざけた。
「香風さん、大丈夫?」
「平気よ、ありがと。それよりまどろみさんは」
まどろみさんは千歳の腕を掴んだまま言った。
「千歳、亮は私のものだ。これから先もずっとだ」
「そんなのわかるもんか、私はずっと待ち続けているんだ。これから先もずっと待ち続けてやる。あんたたちを呪ってやる」
「待ち続けた先に何がある?もう何も無いんだ。無いんだよ。千歳が考えてるような未来はもう来ない。その未来は私がもらった。お願いだからもう亮や香風を苦しめないでくれ。千歳自身の大事な時間を無駄にしないでくれ」
「この女ぁ、上から目線で物を言いやがって」
千歳はまどろみさんの腕を振りほどき掴みかかろうとした、しかし、
「はい、そこまでだ」
「せ、先生?!」
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