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「先生っ!」
香風が先生にしがみついて胸に顔を埋めた。
「お、香風。よく頑張ったな」
「そこそこ柔らかいですよ」
「なんだと?そこそことはどういう意味だ」
「嘘です。またコーヒー飲ませて下さいね」
「ああ、いつでも来い」
千歳が少し落ち着くとお嬢は千歳と並んで座り、昔語りを始めた。
「私のこと覚えていますか?中学最後の夏休み、激しい雨の日にここで会ったことが有るんですよ。私が雨宿りをしているとずぶ濡れの千歳さんが来て…あの時、千歳さんは私に「寂しいの?」って聞きました」
「あの時の…覚えてる…」
「今、その答を言わせてもらいますね」
「…うん」
「私は寂しくないです。過去に捕らわれずに先に進むことを選んだから」
「先に進む…」
「そうですよ千歳さん、あと34ヶ月しかない高校生活、恋愛しなきゃダメです!お勧めは野球部男子です」
「は?え?野球部男子?」
きょとんとする千歳に今度はまどろみさんが話し掛けた。
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