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「私も会ったことが有るんだ」
「え…」
「私に傘を貸してくれたことを覚えてるか?」
まどろみさんは骨組みに少しサビの浮かんだコンビニ傘を千歳に見せた。手元に書かれた千歳という文字がはっきりと見える。
「…この傘…あの時の…初めて亮と相合い傘で帰った日の…あの時ここに座っていた子…そう、そうなんだ…」
千歳は初めて相合い傘をした時のことを思い出して泣いた。お嬢は再び千歳を抱き締めた。
「いっぱい泣いて良いんですよ。私のお胸で癒やしてあげます」
お嬢は勝ち誇ったような顔でチラッと先生を見た。
「ふっ、私はまた周辺対応しに行くぞー。女子高生が女子高生に抱き締められてる動画とか撮られたらヤバいからなー。おいっ、そこの男、なに撮ってんだ」
先生イラッとしてるから、あの男の人は激しくメンタルを潰されるんだろうなあ。
千歳はすぐに落ち着いた。お嬢の胸って癒し効果抜群みたいだ。
そしてまどろみさんとお嬢があたしを見た。あれ、この流れは…いや、まさかこんな時に三段落ちは無いよね。
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