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「痛い痛い痛いっ」
「美咲の護身術は痛いよ~」
宮子が呑気に言った。
「東山さんっ、ピアノ貸してくださいっ」
お嬢はまくし立てた。
「逃げないから腕離せよっ!」
美咲は腕を離した。
「家まで取りに来てもらえるならいいよ。かなり重たくて、10数kgあるけどね」
「男手が必要ですね。亮さん持てますか?」
「取りに行くのは出来ても担いで学校まで運ぶのは厳しいかも」
運搬方法はあとで考えることにしてお嬢は聞いた。
「なんで電子ピアノ持ってるんですか?ピアノやってるんですか?」
「ネットに動画を載せるとき、電子ピアノをパソコンに繋いで音を作ってたんだけど、今はパソコンのソフトで音を作ってるから使わなくなったんだ。部屋に置いてても邪魔だし使うなら貸そうと思って」
「使い倒します。是非貸してください!」
「いつ取りに来れる?」
「今日はピアノレッスンが有るので…亮さん、この男の気が変わる前に取りに行ってきてください」
「わかった、引き取ってひとまず家に持って帰るよ。学校に運ぶ方法はあとで考えよう」
大志はまだ部活に入っていないので先に帰ってしまう。亮は家の場所を聞き、同好会が終わってから取りに寄ることにした。
「亮、私も行く。この前全部運んで貰ったから、手伝う」
「大丈夫かな?昨日みたいに寝落ちしない?無理しなくていいよ」
「お弁当と同好会の時以外は寝とくから大丈夫、ついて行ったら迷惑かな?」
「そんなことないよ!じゃあ一緒に行こう」
美咲は少し顔の赤らんだ微睡を見て、あれぇまどろみさんってもしかして…と思った。
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