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「なあに、これ?」
「クロカくーん。本、取ってくれましたかー?」
廊下からの声がする。
「あ、キョーゴさん」
クロカが入口から顔を見せると、二十代も半ばの男が猫を抱きかかえて待っていた。
「ごめんねー、なんていう本だっけ?」
「井上坂っていう作者名で、『コドモノアソビ』です~。綺麗な絵が背表紙まで描かれているやつです~」
クロカは、手にした本を確認する。
タイトルも作者名も、キョーゴの言ったものに間違いない。
表紙では、幻想的な森の中を、子供たちが走っている。森は背表紙を通り、裏表紙まで続いていた。
そこには、ぽつんと一人だけしゃがんでいる子供がいる。
話の内容が気になる本だ。
頼まれたその本と、さっきの箱を持ってナギの部屋をあとにした。
「クロカ君、ありました?」
「うん、あったよ。はいコレ」
言って、本を手渡す。
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