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都の商いの中では、占いも盛んであった。
呪いを行う者や、呪術師もいた。
天体観測から生まれた星占い。動物の臓器で占う肝臓占い。
人々は呪文や護符を悪鬼から身を守るために持っていた。
動物の形に削って作った石細工のお守りを身につけることもあった。
古代人にとって病気は邪霊や死霊の仕業であり、病の治療のための医療と呪術はとてもよく似ていた。
病の治癒を祈願して多くの人がまじないをし、神殿に祈りを捧げたのだった。
中でもバビロニア人が重視した占いがあった。
それは『夢占い』だった。
メソポタミアでの夢占いの歴史は大変に古く、重要なものだ。
夢は未来を示すもので、自らの運命を予測するものと考えられていた。
印象的な夢を見ると人々は夢を解き、その結果を真剣に受け止めていたのだった。
それは国の支配者である王も例外ではない。
王は神々の代理人であり、神官でもあったからだ。
数多くの王が、見た夢を神から送られたお告げとして、夢の解釈を専門の者に解かせていた。
まだ幻獣も魔物も、世の中に存在していたころ。
神々が人の身近にあった時代の物語。
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