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己の内側にある消えない明かり。
自分を生かし続ける、熱い小さな炎。
いつだったか夕暮れのバビロンで聖塔を眺めながら誓ったこと。
自分の自我の強さ、何者にも屈しない思い。
誰にも汚されない、宝物のような心の輝き。
眩しいまでの生きる力。
それは意識の中で、こんなにも大切なものだった。
(この光が自分を守ってくれている)
切なくなるような愛おしさを感じて、なぜか泣きたくなった。
涙が滲んだので、手でふいて、逃げ場を探す。
黒い泥を全て振り切り、底についたのか地面に着地した。
感触はしっかりした岩場だ。
息を切らしながら、ひたすら暗闇の中を走りだした。
どれくらい走っただろうか。
はあ、はあ……。
息が苦しくなってきたので、走るのをやめた。息をついてしばらく休んだあと、歩き出す。
いつの間にか、周りは暗闇だった。
意識の中とはいえ、星も月も見えない。
「ここは一体どこなんだ……」
ひとり、とぼとぼと岩場を歩いていたところ、ふと、小さな音が向こうから聞こえて来ることに気がついた。
木のはぜる音が聞こえた。植物の燃える匂いがする。
ぱちぱちとした音に、炎独特のゆらぐ明るい光が遠くに見える。
(何かが燃えている……)
顔を上げ、光の方に向かって歩いてみた。
大きな岩の間を通り、少しずつ明かりに近寄る。
岩場に一本の木、柴が生えていた。
木はあかあかとした炎を、枝に巻き取るようにつけて燃えている。
まるで炎の木のようだ。
だいだい、赤、青、紫と光の色を変えながら、美しく盛大に燃えていた。
炎は木を燃やし尽きることなく、火の粉と光明を放ち続けている。
普通の木とは全く違っていた。
荘厳な光が周囲全体に溢れ出している。
胸が高鳴る。
強力に惹きつけられ、目が離せなくなった。
この木は一体いつから、いつまで燃えているのか。
私は心を奪われるように、木を前に立ちつくしていた。
炎の明かりに照らされながら、不思議に思う。
(何で、このような炎の木が、こんなところにあるんだろう)
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