第二章:夢解き

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第二章:夢解き

 しんと静まり返った王の間にて、私の夢解きが始まった。 「陛下、あなたのご覧になった夢は、こういったものでしょう……」  言いながら、意識を集中させて、祈るような思いで話し始めた。  部屋中の誰もが息を呑み、話を聞いている。  解釈に没頭し始めると、意外なくらい、すらすらと言葉が出た。  無心に行うせいか、自分ではあまり話した内容を覚えていない。 「このように、いと高きものが未来のことを、陛下に知らされたのです──……」  時間にすると、そう長くはない。  いつの間にか、私は夢解きを話し終えていた。  ふと現実に意識が戻り、目が覚めるように我に返る。  王も部屋中の臣下達も、驚いたように私を見つめていた。  心配になった私は王の反応が気になった。  成功か、否か。  肝心の男は低くうなると片手を顔に当てて、脱力したように王座に座っている。  手で影になって、表情が見えない。  しかし、先程まで身にまとっていた怒りや毒気の気配は、抜けたように見えた。  身分差のしきたりで、王には問われない限り、臣下から声をかけてはいけない。 (うまくいったのかな……)  急に不安になり、一秒が長く感じてじりじりする。  疑問はあったが、私は何も言えずに王をうかがった。  彼からの返事は何もない。  長い沈黙に、部屋の者達も少しざわつき始めた。  うなだれた王は、声を絞り出すように言った。 「処刑は取りやめる。皆、下がれ」  部屋中の誰もの、安堵の息を吐く音が聞こえてきた。  私もまた、肩の力が抜けたが、彼の変化は気がかりだった。  王はうつむき気味に目をそらして、王座から立ち上がった。 「ベルテシャザル、お前もだ。下がれ」  そう言って席を立つと、黒いローブをひるがえし、足早に入ってきたときの大扉へ向かう。  誰のことも振り向きもせず、王の間から去っていった。  音を立てて大扉が閉まる。  数名の近衛兵が、慌てたように王を追いかけ、別の出入り口から退出していった。
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