ひまわり

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ねぇ、ぼくのお父さんはねぇ、ひろしまにいるんだって。 「ケントくんは、お父さんとあまり会ってないの?」 うん、だって ひろしまはとおいから。 「そっか。会いたいね。」 うん。でもお父さんはぼくと会いたくないんだってさ。 「そんなことないと思うよ。どうしてそう思うの?」 だってぼくが ひまわりさんの うえきばちに水をあげなかったから。 「お父さんにおこられたの?」 うん。ひまわりさんねぇ、みどり色の子供だったんだけど、水をあげなかったら ちゃ色になっちゃったの。 「どうして水をあげなかったの?」 わすれちゃったの。 「お父さん、おこってたんだ。」 うん。ひまわりさん しんじゃったぞ、って。お父さんは、ひまわりの き色の花が見たかったって。 「でも、お父さんは ほんきでおこってないんじゃない?」 ううん。おこってたよ。だって、その日のあと、ぼくのおなまえが、やまもとケント になったんだよ。 「そうなの?でもそれは、ケントくんのせいじゃなくて、お母さんとお父さんの おはなしかもしれないよ。」 ぼくがわるい子だったからじゃなくて? 「ケントくんはわるくないよ。お水をあげるのをわすれただけでしょ?」 そうだけど。だって ひまわりさん ちゃ色になって、しんじゃったんだよ。 「そうだね。ひまわりさん、のどがかわいて、くるしいって、あお色の おかおだったかもしれないね。」 あお色のおかお?ひまわりさん、かわいそう。 「ひまわりさんに水をあげなかったのは、ほんとうに、わすれていただけなの?」 そうだよ。なんで? 「だって、ケントくんがひまわりさんのおはなしするときさぁ、ずっと みぎ手をみてるから。」 これは、、、、これは、、、、 「か にさされたんでしょ?」 そう。水をあげなかったほんとうのりゆうはね、ひまわりさんに水をあげようとすると、か がちかづいてきてね、 「うん。」 ぼくの手に あかい色の おやまをつくってね。 「それで?」 そこが とってもかゆくなるの 「そっか。そういうことだったんだね。」 うん。 「だから、ひまわりさんに お水あげるのやめたんだ。」 ごめんなさい。 「ごめんなさいがいえたから、お父さんもかえってくるかな?」 ほんと?お父さん、ひろしまからかえってくるかな。 「かえってくるんじゃないかな。おばさんはそうおもうな。」 やったぁ。ぼくのおなまえも、たなかケントにもどるかな? 「そうだね。」 おばさんの おなまえはなに? 「おばさんは、ささきひなただけど、もうすこししたら、たなかひなた になるはずだよ。」 ぼくとおなじなまえだね。 「そうだね。なかよくしてね。」
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