嫁取物語

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その時、電光石火の如き光と音が頭上に轟いた。 ――バリバリバリバリッ。 余の人生終了のお知らせか。 何度も転生を繰り返した割に、何とも味気ない結末であった。 やはり人を呪わば穴二つじゃ。 もし来世があるのなら、どんな形であれ、またあのあざと可愛い姫に出逢いたいものじゃ。 そんな願いも虚しく、意識が遠のいていく…… 「3番テーブル、かぐやさん指名入りまーす」 爆音の音楽とアナウンスで目が覚める。 仕事疲れでこんな場所で寝入ってしまうとは。 「こんばんは~。美加登(みかど)さ~ん、今日も来てくれたんだぁ。ありがとぉ~」 そう、余はとてつもない時空を超えて20XX年に転生したのだ。 「いつもありがとぉ。これで田舎の両親に仕送りできるよぉ」 うるうるした目でこちらを見てくる。 俺の嫁、いとをかし。 そう、俺が彼女を指名(選んだ)したのは天命じゃ。
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