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お兄ちゃんの手
戦争はよく、地獄絵図と言う。
だけど、地獄でもこんなに惨い光景はないだろう。
私は当時4歳だった。
私には、母、父、祖母、そして兄がいた。
私は母も父も祖母も大好きだったが、よく私をかわいがってくれた兄が幼い頃の私にとって特別だった。
「兄ちゃん、手暖かいね。」
兄は手が暖かった。寒い冬でも、暖かった。
だからよく、手を握っていたものだった。
「お前の手も暖かいさ。」
お兄ちゃんはそう返してくれたのを覚えている。
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