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ボトルメール
ボトルメールって分かるかな。メッセージ・イン・ア・ボトルとも言うそうだけど、手紙を瓶に詰めて海に流すと、波に揺られて沖に運ばれ、長い時間をかけ、遠い異国の浜辺に届いて、どこかの誰かがそれを拾い上げる……そんな事を期待した、なかなかに詩的な行為だ。
小説ではその手紙に、最後には誰もいなくなってしまう孤島での連続殺人事件の真犯人の告白だとか、楽園にも似た無人島でのふたりの男女の甘美な日々が地獄の顛末を迎えるまで、だとかが綴られていたりするのだけど、それはフィクションの中の話で実際には、そんな劇的な出来事はそうそう起きたりはしない。
大体、よっぽど切迫した状況下にあるか、(こちらが多数派だと思うのだけど)逆にちょっと興が乗った時でもなければ、そんな不確かなものに大事なメッセージを託したりはしないだろうし、その瓶が拾われることは事実もっと少ないだろう。
―今朝、そんなものを、拾った。
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