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五. 1月 ごめんね~
友人の結婚式。
年が明けただけでも、めでたいのに、
更に追い打ちをかけるようにおめでたい日は続く。
正直、人の幸せを祝うなんて、そんな気持ちではなかったけど
「行って来いよ。」
そう、あなたとヘルパーさんが玄関から手をふる姿に
後ろ髪を引かれながら出かけたね。
出かけた……、
そう出かけてしまった……。
結婚式の内容とか、申し訳ないけど
何も覚えてない。
覚えているのは、帰ってきてからの事。
「ただいま。」
ドアを開けた瞬間に
ちょっとだけほろ酔い気味の私は凍りついたよ。
割れたワイングラスが廊下に散乱して、
その先に、車椅子から崩れ落ちていたあなた。
「一緒にお友達の祝杯を乾杯したかった。」と、
血が付いた手で笑うあなた。
その瞬間、割れたグラスで何度も自分の動かなくった足を突き刺すあなた。
「お前と結婚できなくてごめんな、ごめんな」……って
エンドレスリピートのように繰り返す言葉達。
もういいって、もういいよ。
それ以上、言わないで_____。
最後にポツリと
「こんな体になってごめんな。」
そう締めくくったあなた。
ただただ、立ち尽くした。
ただただ、茫然と立ち尽くした。
それしかできない。
何もできない。
役立たずの1月7日。
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