妻の財布

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妻の財布

今日は妻の誕生日だ。 妻が探していた赤い皮財布をプレゼントした。 「うそ!赤い皮財布なんてよく見つけたわね。うれしい!ありがとう!」と妻は言った。 よほどうれしかったんだろう、妻は早速、財布の入れ替え作業を始めた。 何軒も店を回ってやっと色とデザインが好みであろう財布をみつけたんだ。 でも、そんな姿を見ていると探した甲斐があったものだ。 ぱんぱんに膨れ上がった古い財布からは、レシートやクーポン券や、いつ撮ったかわからない証明写真まででてきた。 「このラーメンのクーポン券は3カ月前にきれてるよ。」 ぼくはクーポン券を拾い上げて言った。 「次行ったとき使うかもと思うとついついため込んじゃうんだよね。」 そう言いながら、 「これはいる、これは捨てるっと。」 ぶつぶつ言いながら整理をはじめた。 ぼくは古い財布からでてきた一枚の名刺を拾い上げた。 その名刺は古びで汚れていた。 「これは新しい財布に入れるから返して」 そう言いながらぼくの手から拾い上げた。 ぼくは、鼓動が速くなった。 「ねえ。その名刺は何?」気づいたときには声を出していた。
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