父とは

2/11
前へ
/11ページ
次へ
「健人!お母さん買い物行くけどどうする?」 「今日はいいや。なんかお菓子買ってきて」 「はいはい。お父さん、健人の宿題見てあげてちょうだいね」 「一人でできるから大丈夫だもん」 「おう、気をつけてな」 「行ってきまーす」  いつも通りにスーパーへ買い物にいく母を見送り、宿題を広げた。 「健人ももう5年生だもんな。大きくなったな」  出張で家にいることが少なかった父との、久しぶりの会話だった。 「父さんが仕事忙しいからでしょ」 「そうだな。寂しかったか?」 「別に。父さんいなくても母さんがいるし」 「そんな事言うなよ。俺はすごく会いたかったんだぞ?」 「寂しかったんだ」 「そりゃあな。俺のたった一人の息子なんだから」 「じゃあ父さんは」  ___僕のこと見守っててくれる?___  僕の言葉は、声にならなかった。  ガクン、と突然地面が揺れた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加