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それも当然と言えば当然だ。ぼくはここ二十年ほどの間に発表されたこれらのジャンルの作品を、書籍化されたものはもとより、そうでない作品もシャケトワール以外のサイトも含めて発掘して、合計五十万作ほど読んでいる。もちろんそれだけじゃない。それらの作品の売り上げ部数(Web作品ならPV)と発表当時の時代背景との関連も調査して、どうすれば売れる作品になるか常に研究している。だからこの結果も必然だ。そして最優秀賞の受賞により書籍化も決定し、今はそのための改稿作業に入っている。
だけど……
「よし、それじゃ途中まででいいから、見せてくれる?」
冴島さんの声が、ぼくの思考を中断させる。
「わかりました」
改稿された「無無無令嬢」の原稿が、画面に表示される。それを見ていた冴島さんの顔が、みるみる険しくなっていく。これは……ネガティブな評価が下される確率、98.3プラスマイナス1.5パーセントというところか……
「なに、これ」呆れかえった顔で、冴島さんが言う。
「なにって……改稿した『無無無令嬢』ですけど……」
「君はさ、文芸作家になるつもりなの?」
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