いちごパフェ

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 男であるゆえ食べる機会は非常に限られる。コーヒーショップに入ってケーキを頼むのもなんとなく気詰まりだし、コンビニで一人で買うのも店員の目が気になってためらわれる。彼女と会うときくらいのものだ。  この一月という寒い季節にパフェなんか食ってるのは店内でおれだけだ。さて――  コーンフレークのさくっとした歯ざわりにいちごの甘酸っぱさが入り交じる。――旨味がおれの味覚を支配する。  穏やかな日差しに照らされる彼女の顔を眺めながら美味いものを食べるのは至福のひとときだ。――四年のつき合いを経て、おれは顔を見ただけで香枝の機嫌が分かるようになった。もはや、彼女は、二人のあいだに沈黙がそびえようとも、不安げな顔を一切見せようとしない。堂々たるものだ。  その彼女のまぶたが、落ちて……あれ。眠いのか。  かぶりを振り、眉間に皺を寄せながら紅茶のカップに手をつける。――無理して飲まなくてもいいのに。 「眠いんなら、帰る?」  勿論、帰っても彼女を寝かすつもりなんかおれには毛頭ないが。 「ううん、平気」 「だがな、香枝――いまにも寝落ちしそうな顔してるぞ」 「平気だってば」と彼女は首を振るが。  しかし、再び頬杖をつくと、うつら、うつら……。
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