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失言に気づいたのだろう。すかさずおれは突っ込む。「――香枝ちゃん。『なんて』って、どういう意味?」
「ご、ごめん! そういう意味じゃなくって、あの、その……」
「なんにせよおれのことを意識してくれているようでよかった」にっこりと笑い、遅れて届いたほたてを殻ごと乗せる。――何故か女の店員が露骨におれのことを見てきたが、勿論、スルーした。
* * *
「焼肉って、『家族の思い出』なんだよね――」
夜空に遠い星の輝く帰り道。
ぽつりと、香枝がそんなことを言った。「うん」とおれは相槌を打つ。
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