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2.事件概要
――夜の十一時頃、市内で殺人未遂事件が発生した。
被害者は佐藤千香子(17)、高校二年生。背中を鋭利な刃物で刺され、重症(着衣に若干の乱れあり)。
第一発見者は近所の主婦。
「助けて!」という叫び声を聞いて被害者宅の様子を窺ったところ、玄関先で倒れている被害者を発見。救急に通報。救急から警察へ出動要請。
発見者の主婦の話では、「誰にやられたの?」と被害者に問いかけたところ、「お父さんが」と答えたとのこと。被害者はその後すぐに失神。
被害者は一戸建てに父親と二人暮らし。
父親の八郎は不在であったが、鑑識班による現場検証の最中に泥酔した状態で帰宅。制止を振り切って家に入ろうと暴れた為、公務執行妨害の現行犯で逮捕(のち、その件では釈放)。
酔いが醒めた後、所轄署にて任意の取り調べを受ける。
現場に荒らされた形跡はなく、窓はリビングのものを除いて全て施錠。玄関ドアとリビングの窓のみが開け放たれていた。
窓にも玄関ドアにも工具などでこじ開けた形跡はない。
発見者の主婦は、「佐藤さん親子はしょっちゅう大声でケンカしていた」と証言。
警察では八郎の犯行である可能性も含め、慎重に捜査を進めた。
八郎は「駅前で酒を飲んでいた」と供述しているが、発見者の主婦が叫び声を聞いた時間帯のアリバイは無し。
携帯電話も自宅に置きっぱなしであった為、位置情報の履歴なども参照不可。監視カメラ映像の解析待ちとなる。
が、その後、初動捜査に当たっていた捜査官が、現場付近で不審な少年を発見。
任意の上で所持品を検めたところ、血の付いたナイフを確認。
その事について問いただすと、事件への関与をほのめかした為、緊急逮捕し地元署へ連行した――。
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