2/30 抱きしめる

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2/30 抱きしめる

アヤはいまだに、時折どうしようもなく不安になる。 いや、この先何年たっても、この不安は消えないのかもしれない。 きっと、死ぬまで解けない呪いなのだ。 リョウはこんなにも惜しみなく愛を注いでくれるのに、 それはアヤもじゅうぶんわかっている、感じているはずなのに、 そのうちふっと消えてしまうような気がして。 いつの間にかいなくなってしまうような気がして。 もっとうまく愛せたら こんな不安は消えるんだろうか? どこにも行ってほしくなくて、 この手に繋ぎとめておきたくて。 今夜も、リョウをそっと抱きしめる。 -------------------------- リョウはいまだに、時折どうしようもなく不安になる。 いや、この先何年たっても、この不安は消えないのかもしれない。 それはつまり、愛するがゆえの。 何を考えているのかいまいちわかりにくい、 愛されてはいる、そう感じてはいるけれど、 時々風にさらわれてしまいそうな気がして。 今の幸せは全部夢なんじゃないかなんて思えて。 ずっと一緒にいられたら こんな不安は消えるんだろうか? さらわれてたまるか。 どこへも行かせない、誰にも渡さない。 今夜も、アヤをきつく抱きしめる。
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