君のために泣こう【差分】

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「え~、では文化祭の舞台『夕鶴異聞』の配役を発表します」  まだ残暑の厳しい、演劇部の部室。  弱小文化部では、学校側も壊れたエアコンを修理する費用が惜しいらしい。  そんな中、2年生の新部長・駿河 未緒(するが みお)が紙を開いた。  高校1年生の部員・吉行 悠真(よしゆき ゆうま)は、実に気楽にそれを聞いていた。  主役は、同じ1年の財津(ざいつ)に決まってる。  何せ彼は小学校の頃から演劇をやっていて、将来は俳優になると公言しているくらいなのだから。 (ヒロインの『つう』役は、未緒先輩で決まりだな)  彼は、女子と見まごうほどの美少年。  悠真は未緒を完全に女と勘違いしたまま、男しかいない演劇部へ入部したのだ。  あんな素敵な先輩と、一緒に部活したら楽しいだろうな。  そんな気軽な気持ちで、演劇部に入った。
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