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耳に息を感じてビクッとしてしまった。
由宇の手が 俺の肩に置かれている。
なんてフレンドリーなんだ。
このスキンシップの激しさは……帰国子女か?
「いつもギリギリに来るの。見た目驚いちゃうよ」
これ以上驚くことがあるのだろうか。さらなる美少女か?
不機嫌そうに入ってきたのはヤンキー美少女だった。
Aクラスにヤンキー?
一番遠いところにいる存在じゃないか!
どうやら想像していたようなオタクは一人もいないらしい。
ヤンキーはガムを大げさに噛みながら、切れ長の大人びた目で俺を睨む。
「なんだよ、お前」
「ほら、新しく入るって言ってたじゃん。雪成だよ。仲良くしてやれよ」
賢が代わりに答える。
ケンカが始まる前のように上から下まで見られて、俺は固まってしまった。
殴られる?
この人中2か?
留年してる?
「コラコラ、いじめちゃだめだよ。雪成くん、大丈夫だからね。こう見えて沙耶は結構優しいんだから」
由宇が間に入り込む。
それにしても彼女のこの挑発的な微笑み。
あぁ、恋してしまいそうだ。
これが一目惚れってやつかもしれない。
夏服のセーラー服がまぶしい。
ただでさえ男子校に通う俺は女の子を見慣れていないのに、彼女は刺激が強すぎる。
体は細いのに胸はしっかりある。短いスカートから伸びた脚もすらっと長く、どこを見てもパーフェクトだ。
神様からのありがたい贈り物だ。感謝しなければ。
ありがとう。
神様ありがとう……。
「何がありがとうなの?」
やべっ。
声に出てたらしい。
俺はごまかしながら、2列目の端っこの開いている席に着いた。
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