塾はきゅんきゅんしにいくものだ

由宇の真実

「由宇ちゃんかわいい」

「由宇ちゃんは本当に綺麗な子ね」

小さな頃から褒められてきた。 世界中の人から。
いつしか褒められることは当然になっていたっけ。

パパの仕事の関係で、小4まではロンドンにいた。

パパはイギリスの大学で日本文学を教えていた。両親とも常識や世間体にとらわれない芸術家肌で、由宇もなににも縛られることのない自分なりの感性を構築していった。

イギリスの小学校で出会ったイアンは、学校一かっこいい男の子だった。

肩にかかる金髪がキラキラと美しく、優しくたれた目が印象的だった。
由宇は彼と仲良くなって、 なにをするにも一緒に行動していた。
お互いに大好きな友達だった。

ある日イアンの部屋でゲームをしていたときのことだ。
彼がとつぜん由宇の頬にキスをした。

「由宇は本当にかわいいね」
って彼は言った。