動揺ハピネス

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 持っている物を組み合わせて衣装に変えちゃうなんて、かおりちゃんはすごいなと感心する。 「そういえば、かおりちゃんがスカートを着ているのって、ちょっと新鮮かも」 「いつもは、パンツばっかりだもんね。……やっぱり、変かな?」 「そんなことないよ。似合ってて、可愛いよ。学校の日も、着たらいいのに」 「スカートじゃ、思いっきり走れないでしょ。木村を追いかけられなくなっちゃう」  冗談か本気か。かおりちゃんは、悪戯っぽく笑った。 「さ、食べよう。できたてが一番美味しいんだから。苺樺、オレンジジュースでいい?」 「うん。ありがとう、かおりちゃん」  かおりちゃんが、オレンジジュースの入ったコップを二つ運んできてくれる。  そのタイミングで、ピンポーンという音が屋内に響いた。 「木村くんかな?」 「タイミングのいいやつ」  言いながら、部屋を出て玄関へ向かうかおりちゃん。言葉とは裏腹に、表情が嬉しそうだった。そんな様子を見たこちらも、笑顔になる。  吉田くんも来られたら良かったのにと、少し羨ましくもあった。 「はあ?」  ふいに玄関口から聞こえてきたのは、かおりちゃんの声。呆れたような、戸惑うような色が含まれている。  どうかしたのだろうかと、わたしもかおりちゃんの部屋を出て、玄関へと向かった。 「お、佐藤じゃん! やっほー」  そこにいたのは、シーツのような白い布を頭から全身に被っているひとだった。  それは、木村くんの声で話している。 「え……木村くん、なの?」  戸惑いながら呼び掛けると、隣のかおりちゃんが盛大な溜息を吐いた。 「こんなことするの、こいつだけでしょ。小さな子どもじゃあるまいし。他にいたら引くわ」 「何言ってんだ。ハロウィンパーティーだろ? 定番のお化けじゃねえか」  言いながら、顔だけを出す木村くん。どうやら本当に、白くて大きな一枚の布を頭から被っているだけのようだ。 「何がお化けよ……って、吉田?」 「お邪魔します」  木村くんの後ろから現れたのは、吉田くん。  白いシーツお化けのインパクトが強すぎて気が付かなかった――わけではなく、彼は今しがたドアを開けて入ってきたのだ。 「急に来て、ごめん」 「良いよ。どうせ木村に捕まったとか、そんなとこでしょ?」 「まあね」  淡い苦笑を浮かべる吉田くん。わたしは彼の登場に、ぽかんと口を開けていた。  まさか、会えるなんて。だけどそのつもりじゃなかったから、思わず慌ててしまう。
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