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晴海と直樹
side晴海
朝早く目覚めた。
スッキリした頭で昨日の自分を思い出す。
(凪…ごめん…)
「おふぁ~…よう…」
「おはよう、凪」
あくびをしながら凪が起きてきた。
ダイニングテーブルについてはいるが、目が開いていない。寝起きが凄く悪い訳じゃないが、起き出してから暫くはボーっとしている。
僕は昨日の夜食べるはずだった鮭のムニエルとサラダ、卵スープ、そしてトーストを食卓に並べた。
「用意できたよ、凪」
「…ん、いただきます」
見えているのか心配だったがちゃんと食べている。
「いただきます」
目が半分閉じたままの凪の顔を見て、どんな凪でも可愛いなあ、と思いながら朝食をとった。
人はこれを兄バカって言うだろう。
もちろん弟が可愛くて仕方がないなんて誰も知らないだろうが。
「俺、今日早いんだった。いってきます」
制服のネクタイを締めながら、凪がバタバタと出掛けていった。
「いってらっしゃい」
凪を見送り、制服に着替え始める。
ズボンに足を通そうとして、太腿にある鬱血痕に目がとまる。
(…引き返せるうちに止めたほうがいいんだろうな)
だがそれは出来ないだろうと思った。
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