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side晴海
(ん…顔に何か…?)
「晴くん、風邪ひくよ。部屋に行こう」
凪いつの間にか帰って来てたのか…。
「あぁ凪、お帰り。僕、いつの間に寝たんだろう?」
こんな所で居眠りするなんて…。
凪が長身を屈めて僕の顔をのぞきこむ。
心配そうに揺れる瞳に心が落ち着かない。
「よく眠ってたみたいだけど、夕食は?」
心配そうにじっと僕の顔を見つめる。
僕よりも色素の薄い瞳と髪はまるで王子様のようだ。
(兄弟なのに僕とはずいぶん違う…。)
「何だか疲れて…食欲ない」
「母さんが用意してくれた食事は明日にしようか」
「うん、そうする」
僕を真っ直ぐに見つめる凪の顔を見ていられない。逃げるようにソファーから立ち上がったせいか、ふらついてしまった。
「晴くん、危ない」
凪にぎゅっと抱きしめられた。
心臓が飛び上がり、顔が熱くなる。
「ありがとう。もう寝るよ」
顔を見られないように凪の胸をそっと押し返し、僕は自室にむかった。
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