凪と晴海

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side晴海 ベッドの上で目を閉じ、自分を抱きしめた。 (凪に…ギュッてされた…) 顔が熱い。 大きくなったとは思っていたが、自分が腕の中にすっぽりと収まってしまう日がくるとは! (恥ずかしかったけど、嬉しかった…) 子供の頃は寂しそうな凪を見ることが多く辛かった。 友達の輪に入れず、いつも一人きりで校庭の片隅に立っていた。 他人に媚を売らずむやみに同調しない性格のため、敬遠されていたのだ。 (…凪はガンコなんだよ) 今では仲の良さそうな友人もできたようで少し安心している。 (笑顔を見せてるのはちょっと妬けるけど…) 高校生活が楽しそうで良かった。 きっと今日も仲の良い友人と青春を謳歌してきたのだろう。 ただ、そこに僕の姿はない。 (…わかってる) 布団を被り、自分で肌を撫でる。 凪の腕の中にいる自分を想像し、息が上がってくる。 そっとズボンに手を入れ形をもってきた自分自身を握ると、うっと小さく声が出た。 (…思い出すだけで感じる…) 左手で先端を弄りながら右手で扱く。 (凪…な…ぎ…) (僕を…抱いて…) (僕を…) 大きな快感の波に包まれ、からだが震えた。 手のひらに吐きだした欲望。 (これ以上望んだらダメになる…) 自分はいい兄になるしかない。 一筋の涙と友に、心に闇が落ちた。
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