1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あれは何だ!?」
まず、それに気付いたのは逃げ惑う大衆だった。
コロニーの夜空に何かが煌めいたかと思うと、その正体を見た。
それは、地上で暴れているバケガニ・バーザムと同じ、MSであった。
ただ違うのは、ベース機の都合上、腰のない特異なシルエットをしているバケガニ・バーザムと違い、五体満足の人間らしい、スラリとしたシルエットをしている事。
コロニーの慣性の関係、中心部が無重力になる事を利用して、空中に逆立ちをしている姿も相まって、スタイリッシュな印象を与える。
その装甲は、戦闘兵器たるMSに似合わぬ、透明感のある白く美しい、光沢を放つ物。
見ようによっては、それは古代日本の花嫁が着る「白無垢」を、MSが着ているかのように見えた。
そして何より人々の目を惹いたのは、その特徴的な頭部。
そう、それはまさしく、宇宙世紀におけるMSの中でも、ある時は戦乱を巻き起こし、ある時は世界に平穏をもたらした、「最強」の代名詞。
「あれは、ガンダム!?」
そう、「ガンダム」。
アルカディアの夜空に、月を背にして現れたそれは、あからさまにガンダムなのだ!
「いいーーやぁっ!!」
月が、その白きガンダム向けて飛び上がる。
同時にそのガンダムも、コロニーの回転により生まれる無重力空間から、月めがけて飛来する。
両者が、空中で交差する。
白きガンダムは胸部のコックピットハッチを開き、飛来した月を己の中に招き入れる。
月が、リニアシートに飛び込むように座る。
そして、操縦桿を握り、全天周囲モニターが起動する。
人機、一体。
今まさに、月と白きガンダム。
MS忍者・「デルタガンダム・白夜」は、一つの巨大な力となった!
最初のコメントを投稿しよう!